24歳、恋愛処女
いまさら、な気もする。
だって、私が真人さんのことが好きだから、奪いたかったんでしょ?

そっと手が重なって、私の顔を見た理央がにっこりと笑った。

「最初の頃じゃなくてさ。
一度だけ彩夏ちゃんを……抱いた日。
無意識だろうけど、抱いてる最中に兄さんの名前漏らして。
兄さんのフリしたら、俺の前じゃ見たことない、幸せそうな顔して笑うんだもん。
もう負けたって思った」

「えっと……」

そんなことしたっけ?
私?

「でもこのこと兄さんに教えるの嫌でさ。
最後に嫌がらせした。
ごめんね」

「ううん。
あのときは私もごめん」

リーンゴーン、時を知らせる鐘に、重なっていた手が離れる。

「見てて。
俺、幸せになるから。
もう兄さんを僻まないでいい、最高の相手を見つけたからさ」
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