24歳、恋愛処女
がちゃ、開いたドアに目を向けると、入ってきた真人さんが不満そうに顔を渋らせた。

「……理央。
おまえはまだ、彩夏に」

「まだ根に持ってんの?
独身最後の話をしてただけ。
じゃ、またあとでね」

ばたんと閉まったドアに、真人さんとふたりっきりになった。
つかつかと寄ってくると、いきなり唇を塞がれる。
きちんとセットされた髪をかき乱され、ピンが引っ張られて髪が攣れたが、そんな痛みも気にならないほど真人さんに溺れた。

唇が離れると、頬を両手で挟んでじっと見下ろされる。
私の瞳に真人さんしか映ってないことを確認すると、ふっと口元だけで笑って離れた。

「美容師さんに頼んで、髪を直しておいで」

「はい」

きっちり押し込まれた私の瞳にはもう、真人さん以外映り込まない。




【終】
< 158 / 158 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:37

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
表紙を見る
蜘蛛の糸に囚われた蝶は
霧内杳/著

総文字数/6,846

恋愛(キケン・ダーク)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop