24歳、恋愛処女
というか、よくお休みの日に私と食事に行っているが、彼女とかいいんだろうか?
いや、彼女がいないから私と食事に行けるんだろう。
はっきり聞いたことはないけど。
そういう話は嫌そうだし。

「今日はこのあいだテレビで紹介されてた、鍋のお店でしたっけ?」

「はい。
あ、いまさらですけど、モツとか大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ」

店を出て、ふたりで並んで歩き出す。
通りに出るとタクシーを拾って店に向かった。

「でもよく、予約取れましたね。
いま、人気なんでしょう?」

最初のうちこそ電車やバスで移動していたが、荻原さんは苦手そうなので最近はもっぱらタクシー。
タクシーに乗るときはいつも、さりげなく私を先に乗せる。

「たまたま、会社の取り引きがあるところで。
裏ルート使っちゃいました」

予約を頼んだときの、松本課長の反応を思い出すと腹が立ってくる。

……誰と行くの?
南谷が怒り出さなきゃいいんだけど。
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