24歳、恋愛処女
「二村さん。
弟の理央です」

「はじめまして。
二村さん」

「はじめまして」

荻原弟さんは真っ白い歯を覗かせると、私に握手を求めてきたので仕方なく手を握る。
が、笑顔が営業用を通り越して嘘くさすぎてなんか嫌。
荻原さんの仕事用の、嘘くさい笑顔は感情が読めなくて嫌だったけど、こっちは下心が見えて嫌っていうか。

「見学、だっけ?
じゃ、行こうか」

さりげなく肩を抱いて中に入ろうとした荻原弟さんに困惑した。
ここのジムはこんなになれなれしいのが営業方針なんだろうか?

「理央。
僕も一緒に見学するから」

「なんで兄さんも?」

「最近、運動不足だし、ジムに通うのもいいかなって」

「マンションにジムもプールも完備のくせに、わざわざ?」
< 41 / 158 >

この作品をシェア

pagetop