24歳、恋愛処女
「そうですか。
なにかあったらすぐに云ってくださいね?」

「……はい」

にっこりと笑った荻原さんに、俯いてしまう。

恋愛関係はめんどくさい。
荻原さんとはそういうのがないからいいと思ってた。

でも、本当は?
私が勝手にそう思ってただけ?

「……荻原さんは彼女とか作らないんですか?」

つい、口から出た言葉。
下がった視線、そこに見えてるナイフとフォークを握った手が、一瞬ぴくっとなった。

「そうですね。
いまは若干、焦り気味かもしれません。
入院している祖母に、僕のお嫁さんの顔を見せてあげたくて」

顔を上げると、弱々しく笑う荻原さんの顔が見えた。
初めて、男の人のそんな顔を見たからか、心臓を鷲掴みにされたみたいに胸がぎゅっとなった。

「なら、私なんかと食事なんかしてる場合じゃないんじゃ」
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