24歳、恋愛処女
「……最近、とても気になってる女性がいるんです。
でも、彼女は全然気付いてないみたいで。
少しずつでいいから、振り向いてもらえたら、って」

「……そう、ですか」

――兄さんはそういうつもり。

理央さんの言葉が現実味を帯びてくる。

荻原さんが振り向いて欲しい女性って、たぶん私のことで。
荻原さんは私を、そういうつもりで食事に誘ってて。
私はいままでそれに、全然気付いてなくて。

全部全部、私の自惚れや勘違いだったらいい。

そう思うのに、目の前で自信なさげに笑う荻原さんが、現実だといっている。

「じゃあ、また次回」

「……おやすみなさい」

別れ際、いつもだったらまたって次の約束をするのに。
今日はなぜかできなかった。

……私は。
どうしたらいいんだろう?
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