24歳、恋愛処女
噛むと、混ぜ込まれた軟骨がコリコリといい感じでアクセントになっている。
今度、荻原さんにも食べさせてあげたいな、あたまの片隅でそんな考えが掠めていく。

「つくねの好きはさ。
別に、つくねのことは考えないよね。
つくねが自分をどう思ってるか、とか」

「そりゃ、つくねですから」

ビールを一口飲むと、松本課長はさらに続ける。

「でも、僕が彼を好きだって思うのはさ。
彼が僕のことをどう思ってるんだろうとかすごく気になる。
彼のほんの小さな言動で、一喜一憂するくらい」

「んー、やっぱりわからないです」

苦笑いで、松本課長がさらにビールを飲んだ。

「二村さんはなんかこう、あまり他人に興味なさそうだもんね。
我が道を行くっていうか。
人にペースを乱されるのが嫌い?
そんな感じ」

「……確かに」

松本課長はよく人を見ていると思う。
私のジョッキが空になってることに気付くと、さらに注文してくれるし。
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