空に咲く花とキミを
「あっ!あたしの仕事!」

「オマエが遅いからだろ」

「うぅ…」

悔しそうに焼酎やウーロン茶を用意するあたしを、してやったりという表情で見ているお客さん。

「オマエの華って名前、本名?」

「え?そうですよ」

源氏名とかを考えるのが正直面倒だったあたしは、華のままでお店に立っている。

それに名前が違うと、呼ばれても反応できないかもしれない不安もあった。

「ふーん。オレは原直樹っていうから。覚えといて」

「了解!じゃぁ…何て呼ぼうかな。原さん?原ちゃん?」

「ちゃん付けはないだろ。直くんって呼べよ」

「わかりましたー。直くんね」

フルネームで名乗ってきたり、呼び名を指定してきたり……変わった人だなぁという印象で、外見は髪型もファッションも至って普通、でも会話のノリは好きだった。


これが、あたしと直くんとの出会い。

出会ってしまった……と言った方が正しいのだろうか。

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