空に咲く花とキミを
お酒を飲んでいた方が会話が弾むというのもあるのだけど、お客さんのボトルを減らすのも仕事のひとつ。

「いただきまーす!カンパーイ!」

「華ちゃんはいつも元気だね」

温厚な安ちゃんは、笑顔がとても穏やかだった。

もう50歳くらいだろうか、白髪混じりの髪を、たまにかきあげたりしている。

早い時間帯はお客さんも少ないため、ゆうりちゃんや他の女の子たちが来るまでは、あたし1人でも余裕だった。


やがてゆうりちゃんたちが来て、お店もだいぶ賑やかになってきた頃ーーーあたしにとっては、別の意味で運命の出会いがやってきた。


「いらっしゃいませぇ!あら、初めましてのお客様だわね。華ちゃん、頼むわね」

「はぁい!初めまして、華です」

お店のママに呼ばれ、洗い物をしていた手を止めて挨拶をした。

「おう、よろしく。焼酎頼むわ」

「緑茶、ウーロン茶、お水、どれで割りますか?ジュースとかもあるけど…」

「ウーロン茶」

そう言うと涼しい顔をした新規のお客さんは、タバコに火をつけた。

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