空に咲く花とキミを
気がつけばあたしは、完全に直くんに惹かれていた。

最初、それが恋愛感情なのかはわからなかったけど、元彼と別れた理由のひとつであったことは明確だった。

別れてからは、直くんとぐんぐん距離が近くなっていき、お店でもあたしのお客さんとして定着していた。

キャバクラのように指名制ではないから、お店の女の子たちは色んなお客さんにつくのだけど、あたしは直くんについている時間が圧倒的に長かった。

それは、ゆうりちゃんが安ちゃんについている時間が長いのと同じことなんだけど。

お店では、カラオケもする。

直くんは歌は……お世辞にも上手いとは言えなかった。

でも、お酒が入るとノリノリで歌いだす直くんが、何だかかわいく見えていた。


そしてある夜、この日も直くんからアフターに誘われたあたし。

「華、今日も終わったらあの店に行くぞ」

あたしの返事を聞く前に行くぞと言う、その少し強引なところにも、引っ張っていってくれそうなカッコ良さを感じていた。


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