空に咲く花とキミを
今思えば、バカなあたし。

ただの自己中で偉ぶってるだけの直くんに、かっこいいだなんて。

にわか仕込みの雑学や時には嘘を並べて、オレは何でも知っているんだとふんぞり返る直くんの本性に気がつくのは、もう少し後のこと。


「なぁ…華?」

「なぁに?」

そうしてその夜、直くんから付き合わないかと言われた。

好きだとか付き合ってほしいだとか、そういう言葉は出てこなかった。

オマエ、オレと付き合う?みたいな感じ。

なんて言われたかもう忘れてしまったけど、あたしの気持ちを試すような、そんな言い回しだったことは覚えてる。

色んなことを勘違いしていたあたしは、二つ返事で付き合うと言っていた。

そしてそのままの流れで、あたしと直くんは身体を重ねたーーー。

あたしが暗闇に堕ちていく、これが始まりだというのに、何も知らないあたしは直くんの腕の中で息を荒げ、幸せいっぱいだった。


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