空に咲く花とキミを
松井さんが案内してくれた今いる1LDKのアパートが、今日からあたしと直くんの部屋になることに、期待と不安が入り混じる。

「…」

大丈夫ーーー心の中で、何度も唱える。


寮付きの派遣会社なら住むところも仕事も困らないからと、同棲することを提案してくれたのは、直くんなんだから。


だから、きっと大丈夫。



「華、支度できたか?」

気がつけば直くんは、玄関先からあたしを見ていた。

「ごめんっ、今行く」

急いで靴を履き、直くんと2人で松井さんの待つ駐車場へと歩いた。

「お待たせしました」

当たり障りない言葉と愛想笑いで後部座席のドアを開けて、車の中にいる松井さんに話しかける直くん。

「いや、早かったよ。さぁ乗って」

「はい」

あたしは小さく返事をしてから松井さんの車に乗り込むと、車内はエアコンが効いていて気持ちが良かった。

松井さんの車、ボディ部分に社名が載っている営業車というヤツが、ゆっくりと発進した。


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