空に咲く花とキミを
「直くんの職場はどうだった?」

見学が終わって、松井さんの車で送ってもらう途中、あたしは直くんに聞いた。

あたしと直くんは同じ工場で働くのだけど、配属される部署は違うから、直くんがどんなことをするのかが、単純に気になっていた。

「あぁ、ちょっとした組付け作業だな。大したことなさそうでラッキーだったわ」

「そっか、良かったね」

「はは。原くんは頼もしいね。木嶋さんはどうでした?」

運転しながら、松井さんが話に入ってきた。

「あたしは、こういう仕事は初めてだから…やってみないとわからないです」

あたしは、素直な気持ちを話した。

「そうだろうね。職場で困ったことがあれば、どんなことでも相談してくれていいからね」

「はい。ありがとうございます」

あたしの不安がいくらか減ったところで、車が寮に到着した。


「いよいよ明日からか。景気づけに飲むか」

部屋に入るなり、飲むだなんて言い出した直くん。

陽は、まだ高かった…。

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