空に咲く花とキミを
直くんは酒グセが悪く、嫌なことがあったりすると飲んでは当たり散らしたりする。

詳しく話してくれないからわからないけど、仕事が上手くいっていないらしく、あたしは直くんの文句を聞きながらお酒に付き合わなければならなかった。

寮の部屋で飲むのは毎晩のことで、週末になると飲み屋に行きたがる。

あたしたちにそんな金銭的余裕はなく、直くんはあたしのクレジットカードをアテにしていた。

せっかく仕事が順調なのに、私生活は充実していなかった。



「なぁ…。」

「なぁに?直くん。」

それは、仕事を始めて10日目のことだった。

梅雨も明け、毎日が暑さとの闘いという夏真っ盛り、食堂で直くんとお昼ごはんを食べている時だった。

直くんの神妙な面持ちに、胸がザワザワとした。

「華、オレはだめかもしれない。」

「だめって何が?」

「今の仕事だよ、オレには合わない。松井さんにも話してあるから。」

「……。」


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