そのキスで、覚えさせて






静かな部屋に、あたしと遥希だけが残された。

廊下からは時折人の声が聞こえてきた。

もうすぐ、泉や瀬川さんが来るだろう。

みんなはどんな反応をするだろう。

考えただけで怖い。

そんなあたしに、



「お前も覚悟決めろ」



遥希は静かに言う。




「俺はお前が彼女だって胸を張って言える。

お前もいい加減諦めたら?」





その真剣な眼差しに、釘付けになる。

その甘くて低い声に、耳が痺れる。

そして、こんな時にまでさっきのライブを思い出して高揚した。




いい加減、諦める?

諦めるんじゃない、恐れ多くて言えなかったんだ。

だけど……

あたしは遥希の彼女。

遥希も認めてくれているのだから、もっと自信を持たなきゃ。




頷くあたしを見て、遥希は嬉しそうに笑った。

あたしの大好きな笑顔だった。


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