そのキスで、覚えさせて
ほんのりアルコールの回ったあたしは、顔を上げぼーっと彼らを見る。
あたしの前には、スーツを着た男性が二人いた。
あたしよりも少し年上で、イケメンではないが、出来る男オーラが漂っている。
なんだか誠みたいだ。
そんな二人だけど、誰なのか心当たりもない。
ぼんやりしているあたしに、
「ほら!二次会で同じ席だった……」
彼らは爽やか笑顔で告げた。
二次会……
そうだ、由紀先輩の結婚式二次会の話だ。
確かに彼らはあたしたちの前にいて……
あたしに、後輩の誠の話をしたんだ。
彼らはアルコールで気分が良かったかもしれないけど、あたしは散々だった。