そのキスで、覚えさせて
「それと……コンサートの件」
遥希は言いにくそうに口を開いた。
「お前がそんなに望むなら、来たらいい」
「えっ?本当に……」
あたしはぽかーんと遥希を見ていた。
だけど、
「座席……」
思わずそう言ってしまったあたしに、
「俺が張本人だから、座席くらいは確保出来る」
涼しげな顔で言う遥希。
「今年は賢一夫妻も呼ばないといけねぇ。
だから、お前さえ良ければ賢一夫妻と来い」
「えっ……」
「一人で来いなんて、言えねぇだろ!」