そのキスで、覚えさせて
瀬川さんは、やっぱり出来る男だった。
打ち合わせに入ると、さっきまでの朗らかな空気は一変して、鋭い質問を投げかけてくる。
それで、あたしはあたふたしてしまって、何回も先輩が助けてくれた。
あたしもまだまだだ。
もっと精進しないといけない。
結局あたしは滅多打ちにされて、瀬川さんは満足げに帰っていった。
そんな瀬川さんとのいざこざは、もう終わったように思えた。
あの日の瀬川さんの言動はお酒のせいだ。
そう思うことにした。