sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「そういえば、凛に聞いたけど……岡田祥平に、キスされたって?」
唐突な質問に目を丸くして、私は記憶を思い起こす。
あれはキスというか、私にとっては物理的に唇がぶつかったにすぎないほど感情のないものだったけれど……もしかして、怒ってる?
「あ、あの……一度、だけ。でも、ほんのちょっと、事故、みたいな」
そんな言い訳で慌てて取り繕うけれど、彼は私の両手首をつかんで腕ごとぐい、と頭上に伸ばさせた。
そして手錠をつながれたみたいに大きな彼の手でひとまとめに拘束され、抵抗できない格好になる。
でも、そんな少し乱暴ともいえる行動にすら、ドキドキしている自分がいる。
だって、そこまで嫉妬してくれたんだとしたら、不謹慎かもしれないけれど、うれしいんだもの……。
「だから俺はあの計画は反対だったんだ。直前になって“やっぱり詠吾に黙ったままなのは気が引ける”とか言って凛から連絡は受けたけど、そのとき俺はもうテレビ局にいて、千那を助けに行ける状況じゃなかったし……」
「いいんです、そんな……」
「よくない。そのせいでこの唇を奪われたんだ……ちょっとじっとしてて。隅々まで消毒するから」
……消毒?
きょとんととしてる間に、彼の鼻先が頬をかすめて、荒々しいキスが降ってきた。