【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?
「夏海の心にストップをかけているのは、トラウマだ」
涼兄が真面目な顔で私を見る。
「トラ……ウマ?」
「夏海の親友だった疾風(はやて)だよ」
自分でもわかるくらいに肩が揺れる。
「女と遊ぶなんて恥ずかしいからやめようって言われたんだろう?」
「……うん」
「で、殴り合いになった」
「……うん」
「でも、理由は知らないままじゃないか」
「理由?」
涼兄は私に布団をかけながら、眩しいくらいの笑顔を見せる。
理由は聞いた。女と遊ぶのは恥ずかしいって、疾風は言ったんだ。とても冷たい声で。
「夏海が信じていた親友なんだろう?」
「うん、でも……」
親友だった。
変わってしまった疾風は好きじゃない。私を蔑むあいつなんて嫌い。