【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?


 自分の感情がどこに向いているのかがわからない。



 本当なら、高校生にもなれば異性を意識することがあると思う。私にはまるでなくて、意識することくらいはあったかもしれないけれど、それを無視してきた。



 男も女も同じように思っていたから。私には"恋"というものが欠如してしまっている。



 涼兄に話して、やっと自分のことがわかってきた。




「それでも、その春真くんというのは夏海にとって特別な存在なんだろう?」


「特別……うん、特別」




 きっと特別。
 春真くんに会わなかったら、私は変わらなかった。悩まなかった。



 男や女、恋愛なんてものを考えることはなかったんだと思う。



 春真くんが好き。



 だけど、まだよくわからない好き。
 嫌われることが怖い。好きになることも怖い。好かれることが、距離が縮まることがもっと怖い。


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