ぼくのセカイ征服
男達は三人。二つ目の突き当たりで、最初の突き当たりから数えてルートは4つになる。ヤツらが分かれても、一つの道は死角になるはずだ。しかも、この辺りの道は迷走しているので、上手く移動すれば、途中で男達と進路が交わる事もない。
よし、いける!
根拠の無い自信に満ちた僕は、軽快に二つ目の突き当たりを右に曲がる。
そして、さらに前進し、三つ目の突き当たりに辿り着いた。
う〜ん、どうしよう?
いや、考えるだけ時間の無駄だな。ここまでずっと右で来たから…よし、右だ!

僕達が三つ目の突き当たりを曲がったその直後、男達の叫び声が聞こえた。

「俺はこっちに行く!お前らはそっちだ!」
「おう!」
「任せろ!」

その聞こえて来た声や、やたら大きい足音から推測すると、どうやら男達の内、二人が二つ目の突き当たりを右に曲がったらしい。

ちょっと待てよ…
と、いう事は、だ。
アイツら、一つ目の突き当たりで全員右に曲がったのか!?何てカンのいい連中だ!まさか、奴らは超能力者なのか!?そうだとしたら、尚更勝ち目は無くなったな。

…って、超能力者なワケあるか!最初の突き当たりでどっちに曲がるかは見られているんだから、当然の結果じゃないか。危ない危ない、危うく小学生以下の結論に行き着いてしまうところだった。
しかし。
これは計算外だった…

もう、ひたすら逃げるしかないな。

逃げる事しか考えられなくなった僕は、四つ目の突き当たりに行き着いた。曲がる方向は、もちろん、右だ。

それが、選択ミスだった。

僕が突き当たりを曲がりながら、状況把握の為に一瞬振り返ったその時、何かが僕にぶつかった。

「きゃあっ!」
「うわっ!」

…正確には、誰かが僕にぶつかった…らしい。

「イタタ…」
「…うぅ…」

思い切り転んだ僕は、自分が下敷きにしている『何か』…じゃなかった、『誰か』に見覚えがあった。
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