ぼくのセカイ征服
小学校4年生の時、僕は引っ越す事になった。今思えば、あれはきっと、時間の流れに伴う運命がそうさせたのだろう。

…これは僕の勝手な断定ではあるが、あらかじめ決められていた、引越しの原因となった『あの事件』という、時間に呑まれた運命が、そうさせたのだ。そうとしか、考えられない。なぜなら、『あの事件』は、偶発的に誘発されたものではないからだ。今でも夢に見るあの惨劇を…僕は忘れる事が出来ない。

…話が逸れて申し訳ない。いつの間にかとてつもなく暗い話になってしまっていたな。失敗失敗。

閑話休題、当然、ショウと別れる事にもなったわけだが、あの頃の冷淡な(というより、『あの事件』によって一時的に人間らしさを失っていた)僕は、それを気にも留めていなかった。そんな僕とは対照的に、ショウは引越しの原因が自分の接し方の悪さにあると、全ては自分のせいだと、勝手に思い込んだらしい。それを証明するのが、中学校での突然の再会。
有り得ない。かなり遠くまで引っ越したというのに。なのに。アイツは僕のクラスにいた。そして、それ以来、以前にもまして僕に付き纏うようになりやがった。よくやりやがる。感服、脱帽。まさに変態。アイツは口には出さないが、僕への献身(厳密には、献身というほどのものでもないのだが)によって、ありもしないかつての罪に対しての購いをしている様だ。しかも、腐れ縁というやつだろうか、コイツとはクラスがずっと同じなのだ。それは高校に入学してからも変わらなかった。そして、これからも変わる事はないだろう。これは、まぁ、あくまで、ただのカンだが。

「オイ、聞いてんのか!?」
「え…?あ、ああ…」

半分怒鳴り声に近い調子のショウの一言が、遠き日々への追憶から僕を無理矢理現実世界に引き戻す。
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