ぼくのセカイ征服
「とぼけても無駄よ。そんな風に、あからさまにニヤついていれば、誰にだってわかるわ。」
え〜!?人が考え始めた矢先に、それはないだろう。
考えが顔に出やすいのは自分でもわかっているが、僕は少なくとも、すぐにいやらしい事が浮かぶような変態ではない。
それに、決してニヤけてなど……
「――先輩先輩先輩ッ!と〜るセ・ン・パ・イっ!」
「…!?」
瞬間、戦慄が走った。
廊下から響き、次第に近付いてきているこの声は紛れも無く――
「瓜生瞬牙、ただいま帰還しましたっ!」
「……………………」
予想通り、勢いよく開け放たれた扉から何の気兼ねもなく、シュンが軽快に飛び込んで来た。
…しかも、何か無駄に前転とかしてるし、ポーズを決めてるし。
おそらく、スパイか何かを気取っているのだろうが、僕の了見では、常に女装している人間は決してスパイではなく、ただの女装癖がある一般人に永遠に留まり続ける存在だ。
「先輩っ、『おかえりの金一封』は無いんですかっ!?」
「そんな風習、見た事も聞いた事もないぞっ!?」
帰って来て早々、一体何を言い出すんだ、この後輩は?
やはり、コイツの相手は疲れる。
妹は、シュンの開け放った扉から音も無く中に入り、教室の隅で『あの』分厚い辞書のようなものをぺらぺらめくって大人しくしているというのに。
兄妹で、何故こんなにもテンションに落差があるのだろう?名は体を表すというが、濁点の位置が違うだけでここまで表すものが変わるとは。
「あら…?アナタはいつぞやの…」
「…はっ!せ、先輩っ!この女性は、あの時の…!?」
「あ、ああ。そうだけど…」
「そうですか!やはり、この女性は僕と先輩が一晩中、『人間とは何をもって人間たるか』というテーマで語り合った日に出会った人ですか!いやぁ、奇遇ですねっ!まさかこんな所でまた出会うとは!運命とは不思議なものですっ!」
「そんな矢継ぎ早にまくし立てるのはやめてくれ…お前の記憶が改竄されている事に対してツッコめないじゃないか…」
「時任君、一晩中後輩と一緒にそんな事について考えるなんて、異常だわ。生きる事に悩んでいるのなら、いいカウンセラーを紹介するわよ?」
「ほ、本気で心配されてるっ!?」
え〜!?人が考え始めた矢先に、それはないだろう。
考えが顔に出やすいのは自分でもわかっているが、僕は少なくとも、すぐにいやらしい事が浮かぶような変態ではない。
それに、決してニヤけてなど……
「――先輩先輩先輩ッ!と〜るセ・ン・パ・イっ!」
「…!?」
瞬間、戦慄が走った。
廊下から響き、次第に近付いてきているこの声は紛れも無く――
「瓜生瞬牙、ただいま帰還しましたっ!」
「……………………」
予想通り、勢いよく開け放たれた扉から何の気兼ねもなく、シュンが軽快に飛び込んで来た。
…しかも、何か無駄に前転とかしてるし、ポーズを決めてるし。
おそらく、スパイか何かを気取っているのだろうが、僕の了見では、常に女装している人間は決してスパイではなく、ただの女装癖がある一般人に永遠に留まり続ける存在だ。
「先輩っ、『おかえりの金一封』は無いんですかっ!?」
「そんな風習、見た事も聞いた事もないぞっ!?」
帰って来て早々、一体何を言い出すんだ、この後輩は?
やはり、コイツの相手は疲れる。
妹は、シュンの開け放った扉から音も無く中に入り、教室の隅で『あの』分厚い辞書のようなものをぺらぺらめくって大人しくしているというのに。
兄妹で、何故こんなにもテンションに落差があるのだろう?名は体を表すというが、濁点の位置が違うだけでここまで表すものが変わるとは。
「あら…?アナタはいつぞやの…」
「…はっ!せ、先輩っ!この女性は、あの時の…!?」
「あ、ああ。そうだけど…」
「そうですか!やはり、この女性は僕と先輩が一晩中、『人間とは何をもって人間たるか』というテーマで語り合った日に出会った人ですか!いやぁ、奇遇ですねっ!まさかこんな所でまた出会うとは!運命とは不思議なものですっ!」
「そんな矢継ぎ早にまくし立てるのはやめてくれ…お前の記憶が改竄されている事に対してツッコめないじゃないか…」
「時任君、一晩中後輩と一緒にそんな事について考えるなんて、異常だわ。生きる事に悩んでいるのなら、いいカウンセラーを紹介するわよ?」
「ほ、本気で心配されてるっ!?」