ぼくのセカイ征服
よし!多少…いや、かなり強引にだが、何とか良い雰囲気のまま纏められたな。これで僕も、ほっと胸を撫で下ろすことが出来るというものだ。

――しかし。

「はぁ…」
「ふぅ…一先ず一件落着ね。流石の私も、猜疑心を抱かれたまま行動を共にするのは気が引けるもの。」
「…一先ず?」

安堵は、束の間だった。

「ええ。私は、質問は無し、とは言ったけれど、意見が無いとは言っていないわ。」
「それはそうだけど…」
「では、遠慮なく意見を言わせてもらうとするわ。時任君、貴方はもう少し、自制心というものを身につけるべきね。そんな状態のまま社会に出たら、間違いなく社会不適合者として抹殺されてしまうでしょうから。」
「は、はぁ…」

…お前がそれを言うかな。

僕は、僕よりもスミレのほうが確実に、社会に抹殺・黙殺されそうだと思うのだが。説得力に欠けるとは、まさにこのような事を指して言うのだろう。

「――今回だけ、その生返事は見逃してあげるわ。でも、そうやって適当にあしらおうとする態度も、改めた方がいいわね。」
「ご忠告どうも。」
「これは忠告ではなく、警告よ。」

スミレがそう言った瞬間、不意に、僕を取り巻く空気の質が変わったような気がした。

これは、やはり……

念のため、スミレの方をちらっと見て確認したが、案の定、どうやら彼女はご立腹の様子だった。

「…ご、ご警告、どうもありがとうございますっ!」

…やっぱり、怖い。流石の僕も、あんな目で凄まれたら、丁寧にあしらうほか無い。本当に、あの目は反則だと思う。

「――して、そこで会話に割り込みたくてうずうずしている後輩くん。『後輩くん』と呼ぶのはあまりしっくりこないから、アナタの名前を聞かせてもらうとしようかしら。」

おいおい、このタイミングでシュンを会話に絡めるのか、スミレ。
正直、少なくとも僕は、それを選択ミスだと判断しざるを得ない。
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