ぼくのセカイ征服
「心配って、そっちの心配の事なのか…」
「ふふ…まさか。冗談よ、冗談。さぁて、楽しいお喋りはこのくらいにしておくわ。楽しみというのは、一度に沢山味わうと、次の楽しみが薄れてしまうものだから。では、また…ね。」
「また明日な。」
――ふぅ。これで、本当に一段落ついた、か。
…しかし、本当に恐ろしいヤツだな、スミレは。アイツが釘を刺すために独特の雰囲気を纏い近寄ってくると、まるで『恐怖そのもの』がにじり寄って来たかのような錯覚に陥る。もちろん、そんな雰囲気を纏われていては、たとえ本人が冗談だと言っていても、冗談に聞こえる事はない。
…まぁ、そんな事はさて置き。
そろそろ、僕も帰宅するとしようかな。
今日も、かなり疲れた。こんなにも焦躁と絶望…そして希望に満ちた日は、そうそう訪れないだろう。
…あ!そういえば、今日は僕が食事当番だった。ならば尚更、早く帰らなければ。ただ、まだ晩御飯まで時間もある事だから、帰り際に迅速に買い物をし、高速で帰宅。そして、トバリに美味しい煮込みハンバーグでもご馳走してやるしかないな、これは。
…シュンへのメールは、やらなければならない事(今日出された数学の課題など)の全てを済ませてしまってからでもいいかな。とりあえず、適当に何でもいいから送りさえすれば、僕が話を逸らすまでもなく、アイツ自身が勝手に話を脱線させるだろうから、スミレとの過去の話は十中八九しないで済むはずだ。やはり、最初の内は様子見のメールにし、余計な事は書かないに限るな。
…万が一、アイツが食い下がるようでも、何となく受け流していれば余裕でごまかせそうだ。結局のところ、相手はシュンなのだ。僕を盲信にも近い程慕っている(断定はできないが)アイツの事だから、正直言ってこんなにあれこれパターンを想定しておく必要はないのだろうが。
しかし、スミレが言っていたように『念には念を入れよ』だ。少し神経質に考えた方が、不測の事態にも対応できるというものだ。まさに『備えあれば患えなし』だな。
…おっと、こんな事を考えている間に、時間は刻一刻と過ぎて行く。これこそ『光陰矢の……』
……なるほど。
そうか。そうだな。これは、早く家路に着いた方が良さそうだ。
僕は誰も居ない教室に「また明日」と呟くと、意外とこだましたその声を背にし、歩きだした。
「ふふ…まさか。冗談よ、冗談。さぁて、楽しいお喋りはこのくらいにしておくわ。楽しみというのは、一度に沢山味わうと、次の楽しみが薄れてしまうものだから。では、また…ね。」
「また明日な。」
――ふぅ。これで、本当に一段落ついた、か。
…しかし、本当に恐ろしいヤツだな、スミレは。アイツが釘を刺すために独特の雰囲気を纏い近寄ってくると、まるで『恐怖そのもの』がにじり寄って来たかのような錯覚に陥る。もちろん、そんな雰囲気を纏われていては、たとえ本人が冗談だと言っていても、冗談に聞こえる事はない。
…まぁ、そんな事はさて置き。
そろそろ、僕も帰宅するとしようかな。
今日も、かなり疲れた。こんなにも焦躁と絶望…そして希望に満ちた日は、そうそう訪れないだろう。
…あ!そういえば、今日は僕が食事当番だった。ならば尚更、早く帰らなければ。ただ、まだ晩御飯まで時間もある事だから、帰り際に迅速に買い物をし、高速で帰宅。そして、トバリに美味しい煮込みハンバーグでもご馳走してやるしかないな、これは。
…シュンへのメールは、やらなければならない事(今日出された数学の課題など)の全てを済ませてしまってからでもいいかな。とりあえず、適当に何でもいいから送りさえすれば、僕が話を逸らすまでもなく、アイツ自身が勝手に話を脱線させるだろうから、スミレとの過去の話は十中八九しないで済むはずだ。やはり、最初の内は様子見のメールにし、余計な事は書かないに限るな。
…万が一、アイツが食い下がるようでも、何となく受け流していれば余裕でごまかせそうだ。結局のところ、相手はシュンなのだ。僕を盲信にも近い程慕っている(断定はできないが)アイツの事だから、正直言ってこんなにあれこれパターンを想定しておく必要はないのだろうが。
しかし、スミレが言っていたように『念には念を入れよ』だ。少し神経質に考えた方が、不測の事態にも対応できるというものだ。まさに『備えあれば患えなし』だな。
…おっと、こんな事を考えている間に、時間は刻一刻と過ぎて行く。これこそ『光陰矢の……』
……なるほど。
そうか。そうだな。これは、早く家路に着いた方が良さそうだ。
僕は誰も居ない教室に「また明日」と呟くと、意外とこだましたその声を背にし、歩きだした。