呪われ姫と強運の髭騎士
「それって……どういう意味です?」
「? 言葉の通りですが……?」
 
 先程の甘い雰囲気も吹き飛んだ。
 
 フツフツと怒りが湧き上がり、身体の血が一気に逆流しているように熱い。
 
 瞬く間に眉を吊り上げて憤怒の形相に変化したソニアに、クリスはギョッとして思わず後ろに下がった。

「それは即ち、他の男性ともどんどん交流を持て――と言うことですか?」
「そういう考え方も一理ありますね」
「私が、もし、好きな方が出来て、その方も私を好きにだったら、不誠実な事をしても構わないと?」
「姫を好きにならない男は、いないと思います」
 
 微かに笑みを浮かべたクリスの眼差しはどこか寂しさを秘めていたが、ソニアはその意図を探る余裕さえなかった。

「姫は修道院から出てまだ間もない。今まで閉ざされた中で過ごしていて、ずっと女性として生きる楽しみまで閉ざしていました。貴女にはもっとこれから楽しんで欲しいのです。お洒落も男女交えた会話も恋も――それがパトリス王の願いです」
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