呪われ姫と強運の髭騎士
 ――パトリス王が?

「……クリス様はそれで良いんですか? だって、それって浮気公認ですよ? もしかしたら婚約解消になるんですよ?」
 
 その問いにクリスは答えなかった。
 
 ただ、笑みを深くしただけ――

「……分かりました。今から別行動しますから!」
 
 ソニアはドレスの裾を上げると、その場から一目散に逃げた。

「姫!」
と、クリスの呼び止める声が聞こえたが、無視してひたすら広間の外に走る。
 
 涙が溢れそうになるが、化粧が落ちると思ってグッと耐えた。

(何よ、何よ! クリス様の馬鹿! どうせ私は世間知らずの子供ですよ!)
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