呪われ姫と強運の髭騎士
(3)
ようやく泣き止んだソニアがセヴランの手に導かれて移動した場所は、懐かしい東谷だった。
「まだあったのですね! 懐かしいわ」
舞踏会の為に庭園内を自由に歩けるよう、所々に設置されたベンチや東屋には、小さなランプが設置されており、柔らかな明かりが仄かに周囲を照らしいる。
ソニアとセヴランは東屋の中に入り、柱元に取り付けられた大理石の椅子に座る。
幼かった自分が母に連れられて通される場所は、大抵この場所だった。
母と、セヴランの母である王妃が肩を並べて仲良くお茶を飲んでいた、甘い香り漂うバラ園の中の東屋。
「春と秋はいつもこの場所だったよね。僕達はすぐそこの芝の上で本を読んだり、絵を描いたり、犬や猫と遊んだり――」
セヴランの指が指す方向は夜のせいか暗闇だが、ソニアにもそこが過去の楽しい自分の遊び場だと分かった。
「あの頃は楽しかったわ……。朝起きたら『今日は何をして遊ぼう』って一番に考えて……」
「まだあったのですね! 懐かしいわ」
舞踏会の為に庭園内を自由に歩けるよう、所々に設置されたベンチや東屋には、小さなランプが設置されており、柔らかな明かりが仄かに周囲を照らしいる。
ソニアとセヴランは東屋の中に入り、柱元に取り付けられた大理石の椅子に座る。
幼かった自分が母に連れられて通される場所は、大抵この場所だった。
母と、セヴランの母である王妃が肩を並べて仲良くお茶を飲んでいた、甘い香り漂うバラ園の中の東屋。
「春と秋はいつもこの場所だったよね。僕達はすぐそこの芝の上で本を読んだり、絵を描いたり、犬や猫と遊んだり――」
セヴランの指が指す方向は夜のせいか暗闇だが、ソニアにもそこが過去の楽しい自分の遊び場だと分かった。
「あの頃は楽しかったわ……。朝起きたら『今日は何をして遊ぼう』って一番に考えて……」