呪われ姫と強運の髭騎士
 変わったのは彼女の叔父のせい?
 
 それとも、修道院から出たせい?


「ソニア……お願いがあるの。聞いてくれる?」
 
 パメラの瞳が細くなり、微笑みを形取る。
 
 少し不気味さが薄れたが、やはりどこかおかしい。
 
 彼女もやはり自分と同じように精神が消耗され続けて、バランスが崩れてきているんだ。

(可哀想なパメラ……)
 
 私と同じ。

「……良いわ。何でも言って」
 
 ソニアは、そうパメラの手を握る。

「ありがとう……ソニア。大好きよ」
 
 パメラも微笑みながら手を握り返す。
 
 お互い微笑みを作り、しばらく手を握りあった。

「辛いのよ。とても辛いの。この状況から抜け出す、良い方法を見付けたの。……でも、一人じゃ寂しくて」
「まあ……そんな良い方法あるの?  教えて。一人じゃ寂しいなら私も付き合うわ」
 
 どうせ自分の価値など、クレア家の財産以外無い。
 
 なら、パメラにとことん付き合おう。
 
 何処か他の国へ二人で逃げても良い。

「本当ね?  嬉しいわ!  ソニア!」
 
 パメラが微笑みを深くする。
 
 強く、それは強くソニアの手を握り閉めた。




「一緒に死にましょう……? ソニア……」

 


 パメラの口から発せられた声は、暗闇から這い出てきたように恐ろしく低い――男性の声だった……。



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