呪われ姫と強運の髭騎士
 <……な、に……>
 
 後ろで聞いていたクリスも驚きに目を大きく開き、ソニアの後ろ姿を見つめ、そして破顔した。

「ハッハッハ! バフォメット! 残念だったな! お前は振られたようだぞ!」
 
 さあ! と剣先をバフォメットに向けた。

「大人しく地底に帰るが良い!」

 
 ――そうクリスが言い放った瞬間――

 
 クリスとソニアの身体が光を纏う。

「加護魔法の力を見るがいい!」
 
 二人握る剣をバフォメットに向けて、大きく振るう。
 
 それに呼応するように澄んだ音がし、半円の光がバフォメットに向かった。
 
 縦にバフォメットの身体に当たった刹那、爆発が起きたかのように大きくなり輝きを増した。

 <うぉおおおおおおおお!>
 
 祈祷所全体を揺るがす絶叫が、バフォメットから発せられた。
 
 目を眇めるほどの眩しい光が、叫び声までも消す。
 
 ソニアは手で影を作り、その光の中を懸命に見つめる。

 
 ――見えたのはファーンズの断末魔の姿……
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