【B】眠らない街で愛を囁いて
15.52階の秘密 -叶夢-

千翔さんのオフィスにお邪魔させて貰って、
彼が使っているソファーに座って、彼の匂いを感じた。

突然触れた千翔さんの唇。

ふっと力が抜けていくようなそんな時間。
頭が真っ白になって、起こっている現実を理解するまでに時間がかかった。

その後、千翔さんに食事に誘われて連れられて行った場所は
B.C. square TOKYOの53階。

彫刻が施されたドアが開いて中へ足を踏み入れるとふかふかの感触が足の裏から伝わってくる。


そんなエレベーターに連れられて上がったのは、
高級レストランが何店舗か連ねるレストラン街。


完全に場違いな服装を気にしながら、
門前払いされそうな恐怖と共に千翔さんに連れられてとある店のはー前に立つ。


そのお店はフランス語でなにか書かれてた。

千翔さんは常連なのかすぐにそのドアを開けると、
なかから姿を見せて黒服の男性が、私たちを奥の個室へと案内してくれた。

その部屋は千翔さんたちご家族の専用の部屋だと言うのだから、
この恋は本当はどれほど不釣り合いで、身分違いなのだろうって何処かで思ってしまう。

それでも今は、千翔さんと一緒に居られる時間がとても愛しい。


フランス料理のフルコースを順番に頂いてその美味しさをかみしめる。


高校生の修学旅行ぶりに食べたフランス料理。
だけどあの時は、礼法の実技試験を兼ねた食事時間で、緊張から味を楽しむ余裕なんてなかった。

だから今日、この場所で食べたフランス料理が、美味しいと思えた最初の時間。

その後も暫く、コーヒーを楽しみながら千翔さんと雑談をする。
私より5歳年上なのだと知った千翔さん。


連絡先も交換できた。千翔さんの年齢も知ることが出来た。
少しずつ千翔さんが近くなっていく。
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