【B】眠らない街で愛を囁いて
「気にしないよ。
叶夢だから俺は惹かれてる。
その言葉に偽りなんてないから」
そう……偽りなんてない。
叶夢だから、守りたいんだ。
叶夢だから傍に居たいんだ。
どうやって伝えたら、俺の想いのままに叶夢に伝わるんだろう。
こんなにも君が愛おしいことを。
「叶夢……叶夢は今は大学生で未成年だ。
だから俺は叶夢の準備が整うまでただ傍にいるだけでいい」
そう……本当は今すぐにでも抱きしめたいと望みながらも、
俺の中の理性が必死に一線をまだ超えるのは早いのだと告げる。
「だけど……私は、千翔さんに今みたいに抱きしめて欲しいです。
温もりを感じていたいです」
「なら……時折こうやって抱きしめあいながら一緒に居よう」
そう……時が熟し本当の愛を得られる瞬間まで。
それまでは……ただ、こうしてプラトニックな温もりを感じあいながら。
叶夢は……自らの指先を俺の指先へと自分から重ねて、
その意志で俺の腰元へと手をまわした。
「叶夢……今度は俺の部屋へ来るかい?」
その言葉に再びぎゅっと抱きしめる腕に力を込める叶夢がいた。