【B】眠らない街で愛を囁いて


何事かと集まってきた野次馬たち。


今頃になって放心状態になって立ち尽くす俺を
叶夢の運び込まれた病院へと凱兄が連れて行ってくれた。



その日から一週間。
まだ彼女は目覚めない。




俺はどうやって叶夢に償えばいい?
異父妹が叶夢に植え付けた傷をどうして償えばいい?





俺がただ傍に居たかっただけなのに。
こんなにも愛しいと思えた存在に出逢えたのは初めてだったから。






叶夢……目を開けて。
次こそは俺の全てで叶夢を守るから。



叶夢の傍で愛を囁き続けるから……、
だから神様、最愛の人を俺から奪わないでください。






何度も何度も彼女の手を握りしめながら祈り続けた。
< 69 / 90 >

この作品をシェア

pagetop