誰にも言えない秘密の結婚



家に帰って来て、藤原さんの淹れてくれたコーヒーを飲む。


ソファには社長がプレゼントしてくれたクマのぬいぐるみが鎮座している。



「2人掛けソファの半分を占領してるね。このクマのぬいぐるみ」


「そうですね」



ラグの上に座っていた私は少し後ろを向いて、クマのぬいぐるみの頭を撫でた。



「ねぇ、吉田?」


「はい」



クマのぬいぐるみを撫でていた手を止め、前を向くと、さっきまで笑顔だった藤原さんの顔から笑顔が消えていた。




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