誰にも言えない秘密の結婚




「あの、拓海さん?」



あぁ、名前で呼ぶのって恥ずかしいな……。



「ん?」


「会社では、今まで通り吉田って呼んで下さいね」


「えっ?…………あぁ、そうだね」



これは秘密の結婚。


後藤さんたちにバレたら何言われるか……。


特に有本さんには絶対にバレたくない。



「すみません……」


「何で謝るの?」


「私が変なお願いしたから……」


「別に変なお願いじゃないでしょ。あいつらにバレたら何言われるかわからないって怖いんでしょ?」



私はコクリと頷いた。



「俺も明が悪く言われるのは嫌だしね」



拓海さんはそう言って、再び私の頭を撫でてきた。




< 117 / 302 >

この作品をシェア

pagetop