誰にも言えない秘密の結婚
「あの、拓海さん?」
あぁ、名前で呼ぶのって恥ずかしいな……。
「ん?」
「会社では、今まで通り吉田って呼んで下さいね」
「えっ?…………あぁ、そうだね」
これは秘密の結婚。
後藤さんたちにバレたら何言われるか……。
特に有本さんには絶対にバレたくない。
「すみません……」
「何で謝るの?」
「私が変なお願いしたから……」
「別に変なお願いじゃないでしょ。あいつらにバレたら何言われるかわからないって怖いんでしょ?」
私はコクリと頷いた。
「俺も明が悪く言われるのは嫌だしね」
拓海さんはそう言って、再び私の頭を撫でてきた。