誰にも言えない秘密の結婚



しばらくして拓海さんが部屋に入って来た。


手にはノートパソコン。



「空翔に電話したら、明ちゃんが治るまで側にいてやれ。だってさ」



拓海さんはそう言ってクスッと笑った。



「仕事はこのパソコンでも出来るから」



拓海さんはベッド脇の床に座り、膝の上にノートパソコンを置いた。



「ゴメンなさい……私が変なこと言ったから……」


「実はさ、明が行かないで?って言ってくれたのが嬉しかったんだ。初めて俺にワガママ言ってくれたと思ってね……」


「拓海さん……」


「だから明は何も気にしなくていいの。今は治すことが明の仕事だよ」



拓海さんはそう言いながら私の頭を撫でてきた。





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