誰にも言えない秘密の結婚
5日振りに入る事務所。
中は何も変わってないのに、何年も時間が経ってるように思える。
社長は拓海さんのデスクの椅子に座った。
「座ったら?」
社長にそう言われて、私が自分のデスクの椅子に座る。
「何から話そうか……」
社長はそう言って、少しだけ天井を見上げると、私の方に視線を戻した。
「明ちゃんが聞きたいことって、ミナちゃんのことだろ?拓海と彼女の関係……」
「それも、あります……だけど、聞くのが怖い……」
「いきなり知らない女性の名前を聞いたら不安にもなるよね?ましてや、好きな男の過去に関わった女の名前なら余計に」
「えっ?」
「拓海のこと、好きなんだろ?」
「どうして……」
「明ちゃんを見てたらわかるよ」
社長はそう言ってクスリと笑った。
社長には私の気持ちはお見通しだったんだ……。
「拓海は明ちゃんに何も話してなかったんだね……」
私はコクンと頷いた。