誰にも言えない秘密の結婚
拓海さんと事務所に行くと、社長は自分のデスクで仕事をしていた。
私と拓海さんに気付いて、ニヤリと笑う。
けど、その口角は紫色になっていて、少し切れて血が滲んでいた。
「社長、口は大丈夫、ですか?」
「あ、うん。まだ少し痛むけどね」
社長はそう言って、拓海さんの方を見た。
拓海さんはバツの悪そうな顔をしている。
「社長、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
私は社長に頭を下げた。
「明ちゃんは何も悪くないよ。事の発端は俺たちなんだから」
「でも私情で仕事に穴を空けてしまったので、私も悪いです……。でも拓海さんとちゃんと話しが出来て、それは良かったと思いました」
それから私は自分の口から今日のことを報告した。
拓海さんと話し合ったことも。
「うん。良かった。改めて、おめでとう」
社長はそう言って笑顔を見せてくれた。