誰にも言えない秘密の結婚
「頭、上げて?」
「えっ?こ、こう、ですか?」
私は拓海さんに言われた通りに頭を上げる。
その下に拓海さんの腕が入ってきた。
「下ろしていいよ」
そう言われて頭を下ろすけど……。
「力、抜いて?」
拓海さんの腕に負担にならないように頭に力を入れたままにしていたら、そう言われてしまった。
「あ、えっと……」
身体全体に力が入っていて、力の抜き方を忘れたくらいどうしていいのかわからなかった。
「こっち向いて?」
「えっ?」
「俺の方を向いてごらん?」
私はガチガチに力の入った身体をゴロンと拓海さんの方に向けた。
「…………ヒィッ!」
喉の奥から変な声が出た。
身体を横にすると、私と同じ目線の高さに拓海さんの顔があって、しかも近い。
腕枕をしている拓海さんの手が私の身体を包む。
さっきよりもっと密着状態。
下に下ろしていた手に拓海さんの手が触れて、指を絡ませてくる。
完璧に冴えた目は、益々、冴えていく。
「おやすみ」
「お、おやすみ、なさい……」
拓海さんが目を閉じる。
綺麗な寝顔……。
私は、冴えた目を無理矢理閉じた。