誰にも言えない秘密の結婚



30分に1回くらいのペースで社長から大丈夫か?と声をかけられる。


拓海さんに至っては、5分に1回は大丈夫?と声をかけられる。



「明?寒くない?暖房の温度、上げようか?」


「大丈夫だよ」


「お腹、冷やしたらいけないから毛布持って来ようか?」


「だから大丈夫」



妊娠してから、拓海さんの心配性が悪化したような気がする……。



「藤原さん?」


「はい」


「ん?」



有本さんは拓海さんに声をかけたのに、拓海さんと同時に返事をしてしまった。


拓海さんはクスクス笑っているけど、有本さんは私を鋭い目で睨んでくる。



「吉田なんか呼んでない!」



有本さんは“吉田”の部分を強調してそう言った。



「す、すみません……」


「辞めればいいのに……」



有本さんは呟くようにそう言って、拓海さんの方を見てキラキラと素敵な笑顔を見せ、仕事の話を始めた。




< 259 / 302 >

この作品をシェア

pagetop