誰にも言えない秘密の結婚
30分に1回くらいのペースで社長から大丈夫か?と声をかけられる。
拓海さんに至っては、5分に1回は大丈夫?と声をかけられる。
「明?寒くない?暖房の温度、上げようか?」
「大丈夫だよ」
「お腹、冷やしたらいけないから毛布持って来ようか?」
「だから大丈夫」
妊娠してから、拓海さんの心配性が悪化したような気がする……。
「藤原さん?」
「はい」
「ん?」
有本さんは拓海さんに声をかけたのに、拓海さんと同時に返事をしてしまった。
拓海さんはクスクス笑っているけど、有本さんは私を鋭い目で睨んでくる。
「吉田なんか呼んでない!」
有本さんは“吉田”の部分を強調してそう言った。
「す、すみません……」
「辞めればいいのに……」
有本さんは呟くようにそう言って、拓海さんの方を見てキラキラと素敵な笑顔を見せ、仕事の話を始めた。