誰にも言えない秘密の結婚



昼休み。


私はお弁当。


拓海さんも私が作ったお弁当。



「あっ!」


「ん?どうした?」



私は急いで拓海さんの手を取り、それをお腹に持っていく。



「ほら、動いてるでしょ?」


「う、うん」



胎動を感じた日から、動いたと言ったら拓海さんはお腹に手を当てるけど、拓海さんが手を当てた途端に動きがピタリと止まっていた。


嫌われてるのかな?と、落ち込んでいた拓海さん。


お弁当を食べていると、かなり激しくポコポコ動いたから、慌てて拓海さんの手を取ってお腹に持っていったのだけど……。



「すげー動いてる。やっと胎動を感じることできて、嬉しいし感動だよ」


「良かったね」


「うん」



拓海さんはずっとお腹に手を当て、時々、お腹をさすったりしていた。


その時……。


ーーバンッ!


何かを叩く大きな音が聞こえた。


音の方を見ると、有本さんがこちらを見ている。


有本さんはデスクをバンッと叩くと立ち上がった。


さっきの音はこれだったんだ。


有本さんは私の方を睨む。



「もう、嫌だ……」



そう言った有本さんの目には涙がいっぱい溜まっていて、そのまま事務所を出て行ってしまった。




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