誰にも言えない秘密の結婚




「ありがとうございます」



私は社長に頭を下げた。



「空翔、ありがとうな」



拓海さんも頭を下げる。



「いいって。社長の俺がいいって言ってるんだから、いいんだよ」



社長はそう言ってケラケラ笑う。



「仕事は退院して、落ち着いたてからでいいからね。じゃあ、俺、帰るわ」



社長は病室を出て行った。



「明?良かったね」


「うん」



拓海さんが私をギュッと抱きしめる。



「面会時間、終わってますよ!」



看護師さんが病室に入って来た。


慌てて離れる私と拓海さん。



「す、すみません……」


頭を下げ、平謝りの私たち。



「じゃあ、また明日、来るよ」


「うん……」



離れたくないな……。


拓海さんと、ずっと一緒にいたい。


その時、お腹の赤ちゃんがポコっとお腹を蹴った。


ーーママ、大丈夫だよ。


まるでそう言ってるかのように……。




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