誰にも言えない秘密の結婚
「明ちゃん……」
少し考えるように一点をジッと見つめていた社長が私の方を見る。
「はい」
「本当に、本心からそう思ってる?」
「はい……」
「もしね、本心からそう思ってるんなら、俺は止めない。もし、みんなに迷惑かけたくないとか、そんな考えなら辞めさせたくないな……」
「えっ?」
「明ちゃん、本当は辞めたくないんでしょ?」
「ちがっ!」
「じゃあ、何で泣くの?」
「えっ?」
私は目に手を当てる。
あ……何でだろう……涙が止まらない……。
次から次へ、涙が溢れてきて止まらない。
「明ちゃんが拓海や生まれてくる子供との時間を大切にしたい気持ちはよくわかる。だけど仕事は辞めなくていいんじゃない?辞められたら困るって、明ちゃんがいなきゃ困るって前に言ったよね?」
「でも……」
「うん、だからね、会社に来て仕事をすんじゃなくて、在宅で仕事をしたらどうかな?」
「在宅で、ですか?」
「うん。指示はパソコンメールや電話で出来るし、週に1回だけでも事務所に顔を出すだけでもいいと思うんだ」
「社長……」
「うちは小さな会社だから、結構自由がきくしね。在宅で仕事したら拓海や子供との時間を大切に出来ると思うよ?」
社長はそう言って、ニッコリ微笑んだ。