誰にも言えない秘密の結婚




「何、食べる?」



藤原さんがテーブルにメニューを広げた。


横文字なオシャレな名前の食べ物の名前と画像。


見たことも聞いたこともない未知な食べ物。


唯一、わかるのはピザとパスタ数種類の名前だけ。


ドリンクもコーヒー、紅茶、ジュースなど種類も多い。



「お腹、いっぱいなんで……お水だけで……」



昼もろくに食べてなく、夜も居酒屋でろくに食べてなく、お腹がいっぱいだなんて嘘だった。



「嘘つくな」


「えっ?」


「本当はお腹、空いてるんだろ?」


「何で……」


「さっき腹の虫が聞こえたから」



えっ?


私は咄嗟にお腹を押さえた。


顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。


そんな姿を見て、藤原さんがクスクス笑う。



「いやいや、それは冗談だけど。居酒屋でろくに食べてないんだろ?」



何でそれを……。


藤原さんには人の心が読める能力があるとか?


私は素直にコクリと頷いた。



「そんなことだろうと思った。ほら、好きなの選びな」



藤原さんは私の方へグイッとメニューを差し出した。




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