誰にも言えない秘密の結婚
私は無難にミックスピザとアイスカフェラテ、藤原さんはカルボナーラとコーヒーを頼んだ。
こうやって向かい合わせに座ることなんてなくて、ついついチラチラと藤原さんの方を見てしまう。
緩いパーマのかかった黒髪、切れ長の目、高い鼻、細身で背も高くて、私より確実に30センチは高い。
もし、ここに100人の女性がいたら、その100人みんなが藤原さんをイケメンだと思うだろうな。
そのくらい整った顔でモデルのような体型。
さっきからチラチラと藤原さんを見てる女性もいるし。
有本さんが本気で好きになるのもわかる。
「さっきからどうしたの?」
「…………へっ?」
いきなり声をかけられて、マヌケな返事をしてしまった。
「何かソワソワしてるって言うか……」
「あ、き、緊張して……その、す、すみません……」
「いつも仕事で一緒なのに今更緊張?」
藤原さんはそう言ってクスリと笑った。
そこへ注文したものは運ばれてくる。
「食べよ?」
「あ、はい」
私はマスクを外して、それを鞄の上に置いた。