誰にも言えない秘密の結婚
「吉田?」
しゃがみ込んだ私の顔を覗き込むように、藤原さんは私を呼んだ。
「俺と空翔は、吉田の味方だからな」
そう言った藤原さんは私の頭を優しく撫でてきた。
泣き過ぎて声が出ない。
何も言えない私に藤原さんは優しい目で私を見ながら頭を撫で続ける。
「今すぐ自分に自信持ってとは言わない。時間をかけてゆっくり自分に自信が持てるようになればいいんだよ」
私はコクコクと頷くことしか出来ない。
「ねぇ、吉田?」
藤原さんの呼びかけに顔を上げる。
「結婚から始まる恋愛もアリなんじゃない?」
「えっ?」
「世間から見たら順番が違うと思われるかもしれないけどさ。俺はそういう恋愛があってもいいと思うんだよね。だからさ、ねぇ、吉田?」
藤原さんはそこまで言うと、しゃがんだまま私の身体をギュッと抱きしめてきた。
バランスを崩した私は藤原さんの方に倒れこみ、私の身体をギュッと抱きしめたまま、藤原さんの身体は地面に尻餅をつくように倒れ、片方の腕で私を支え、もう片方の腕を地面についた。