誰にも言えない秘密の結婚
「俺、スーツ着たのって何年か振りで、おかしくない?」
「はい。全然、おかしくないです」
実家に行く道中。
藤原さんにそう聞かれた。
スーツ、似合いすぎてます。
「手土産、何にしようか悩んだんだけど、無難に和菓子にしたけど、良かったかな?」
「お気遣い、ありがとうございます。父も母も和菓子が好きなので大丈夫です」
「良かった」
そんな会話をしていると、実家に着いてしまった。
実家なのに、自分が生まれ育った家なのに。
緊張感がさっきよりも更に増していた。