キミの音を聴きたくて



◇◆◇



それから何があったのかは覚えていない。
気づけば自分の部屋のベッドにいた。



私、今どうして寝ていたんだろう……。
あぁ、そうだ。
天音先輩から驚愕の事実を伝えられて、失神してしまったんだ。



さっきのは、なんだったんだろう。
ただの悪夢?



それにしては、やけに現実味があった。
もしも現実だとしたら、なんて怖いんだろうか。




まだ少し頭が痛い。
フラフラする体を押さえながら、やっとのことで立ち上がる。



ふと机の上に目をやると。




〈さっきは悪かった。
ゆっくり休めよ〉




整った美しい字でそう書かれているメモを見つけた。



……やっぱり、さっきのできごとは現実だったんだ。
ただただその事実が突きつけられた気がした。



だとしたら私は、なんてひどいことを口走ってしまったんだろう。
何度知らないうちに彼を傷つけていたんだろう。

< 104 / 241 >

この作品をシェア

pagetop