キミの音を聴きたくて
◇◆◇
それから何があったのかは覚えていない。
気づけば自分の部屋のベッドにいた。
私、今どうして寝ていたんだろう……。
あぁ、そうだ。
天音先輩から驚愕の事実を伝えられて、失神してしまったんだ。
さっきのは、なんだったんだろう。
ただの悪夢?
それにしては、やけに現実味があった。
もしも現実だとしたら、なんて怖いんだろうか。
まだ少し頭が痛い。
フラフラする体を押さえながら、やっとのことで立ち上がる。
ふと机の上に目をやると。
〈さっきは悪かった。
ゆっくり休めよ〉
整った美しい字でそう書かれているメモを見つけた。
……やっぱり、さっきのできごとは現実だったんだ。
ただただその事実が突きつけられた気がした。
だとしたら私は、なんてひどいことを口走ってしまったんだろう。
何度知らないうちに彼を傷つけていたんだろう。