キミの音を聴きたくて
この字は。
このぶっきらぼうな言葉は。
間違いない─────天音先輩だ。
ここに彼の書き残したメモがある。
ということは、学校で倒れた私を家まで送り届けてくれた、ってこと?
私はあれほど許されないことをしてしまったのに。
どうして……。
『俺は、お前を許さない』
さっき、あんなにキッパリ言い切っていたのに。
どうしてこんなことをしたの?
私のことが嫌いなら、放っておいてくれたら良かったのに。
私のことなんて、気にかけなければ良かったのに。
少しだけ……期待してしまっていた。
彼に近づけたのではないか、と。
彼と親しくなれたのではないか、と。
意味がわからない。
どうして、こんなことしたんだろう。
答えは結局いつになっても出なかった。